埼玉県産野菜を使用したクレヨン「おやさいクレヨン」
2024年6月24日 1:00 JST
形が悪く見た目が傷んでいるなどの理由で廃棄されるはずだった地元産の野菜が、鮮やかな色のクレヨンに生まれ変わった。食品加工残渣などを粉末にする機器の貸し出しや販売を手掛ける埼玉県富士見市のアストラフードプランが「おやさいクレヨン」を発売した。同社社長は「このクレヨンを使うことで、廃棄される野菜について考えるきっかけになれば」と話している。
クレヨンは10色セットで、原料となる野菜や果物の名前が付けられている。このうち、にんじんのオレンジ、ほうれん草の緑、ごぼうの薄茶色の3色は埼玉県産の野菜を原料にしている。天然素材でできているので、誤って口に入れても子どもが安心だ。
同社は2020年に設立され、漬物を作る際に出る白菜の芯などの食品廃棄物を300度以上の過熱水蒸気で粉末にする機械を販売している。牛丼チェーン「吉野家」の工場などに導入され、食品廃棄物の削減につながると注目されている。
アストラフードプランの加納千尋社長(37)は昨年5月、スタートアップの創業者が集まる会で、米や野菜からクレヨンを作る「みずいろ」(青森市)の存在を知り、埼玉県産の野菜を使ったクレヨン作りを思いついた。
アストラフードプランは、地元農協や県内の農家などから廃棄予定だったニンジン、ホウレンソウ、ゴボウ計600キロを買い取り、粉末状に加工。クレヨンの原料としてみずいろに提供している。アストラフードプランの設備を使うことで野菜を大量に粉末化でき、生産コストの削減にもつながる。
同社の過熱水蒸気技術は、大量の食品廃棄物を瞬時に殺菌・乾燥できるという利点がある。また、この技術により野菜の自然な色も保たれ、鮮やかな色のクレヨンが生まれる。
今後は、他の野菜もクレヨンの原料として活用できる可能性を探る予定。加納さんは「廃棄予定の野菜でも、食品以外の用途で再利用できるという認識を広めていきたい」と話している。
「おやさいクレヨン」は税込2,200円で、全国のアカチャンホンポ店舗およびみずいろ公式オンラインショップで販売されている。